足を意識して、文章を読むエクササイズ
自分の足に注意を向けてみる。どんな感じがするだろうか?
足に意識を向けたまま、以下の数行を読む。
さいた さいた チューリップの 花が ならんだ ならんだ
赤 白 黄色 どの花みても きれいだな
この童謡を読んでいる間、足を意識し続けられたかどうか?、
自分の意識が童謡の一節の内容と足の間を行ったり来たりしている感じがしたか? それとも、足のことを思い出すときだけ足に意識を向けていたのか?
一節を読んでいる間ずっと足に十分に意識を向けることが できたのだろうか?
以上の質問に答えてみる。 このエクササイズは以下のような意味で興味深い。
①童謡を読みながら、足を意識し続けることで、複数の物事に注意を向ける状態を体験できること。
②このエクササイズが、自分自身の物語に入り込みすぎることで、同時に起こっている他の物事を忘れてしまう状態をよく表している。
うつや不安、自尊心の低下といった物語に呑み込まれると、その時起こっているその他の多くのことを忘れてしまう。その場合 自分の注意はその物語にだけに向けられている。
心理的な痛みについて語るのと同時に、自分の手足や空気の動きなど、自分の 内面や外の環境の中で生じている、多くの事柄に注意を向けることができる。
ここで重要なのは、自分が呑み込まれている痛みを 忘れたり、無視したりするための手段として、足に意識を向けようとしていることではなく、今の瞬間に注目する練習を行うためである。 新聞を読んでいる間や、本を読んでいる間にもこのエクササイズを行うことができる。
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