認知療法の効果への議論とは
1980年代以降、出来事への反応を要素に分けて対応していく「認知行動療法」が、その効果の速さや理論のわかりやすさなどもあり、世界で大きく普 及した。
しかし、一方で、普及するに従い、この治療の「弱点」ともいえるところが議論になった。そのテーマとは? 本当に認知(考え)を「修正する」ことが必要か?ということだった。
認知再構成法(認知行動療法の技法)では、まず自分の考え方のくせを見つけ、次にそれに反論する等して、その「くせ」を修正する方法をとる。
これ自体 の有効性は示されたのですが、
実際に「くせを見つけた」ことで改善したのか?
「修正した」ことで改善したのか?
が議論になった。従来は「修正する」こと こそ有効といわれましたが、実際には「くせを見つけた」段階の効果のほうが大きいのでは?との論文も出されている。
もしそうだとすると、「修正する」こ とよりも、その前の「くせを見つけ」て、距離をとって冷静に対応することに集中したほうがいいことになる。
こうして、心理療法は瞑想に近づいていった。