「認知の内容」でなく「メタ認知」が変化を促す
認知療法は、確かに、うつ病を治す効果があるが、従来、その理由として、その治療的介入が「認知内容そのもの」を変化させるからだという理論づけがされてきた。
だが、違うのではないかという主張が出てきた。
認知療法で、心の病気が治るのは、「認知内容そのもの」の変化によるのではなくて、「メタ認知」の変化によるのではないかと思われるようになった。
前者 ならば、治療者は、クライエントの「病気を維持する固定観念」を議論、説得して修正させようとする。
後者は、必ずしも、特定の固定観念を変えようとする技 法は用いず、「認知のしかた」を変えようとする技法を用いることになる。
第3世代の行動療法(2)「メタ認知」 「メタ認知は、Flabell(1979)によって一般的には、認知に関する知識、あるいは認知についての認知として理解されている。メタ認知による処 理には、自分の認知に関する知識を獲得することの他に、計画すること、モニターすること、評価することなどの制御的過程も含まれる。」(367頁)
「マインドフルネスは(べック式の伝統的なCTのように)思考の内容の修正や変容を目的とせず、メタ認知のレベルで機能するからである。人によっては、こうした動きを革命的な進化と捉え、「徹底的認知主義」の発現とさえ呼ぶかもしれない。」(390頁)