感覚、思考、感情、衝動、情動性の身体反応、気分などすべてに執着しないで、受け流す
うつ病が治るのは、「認知内容そのもの」の変化によるのではなくて、新しい理論が考えられている。「脱中心化」が鍵である。 これは私の言葉で言えば「認知内容からの脱同一化」ということか。
「しかしここで、CBTを実施した体験やこれまでの理論的分析の結果を踏まえて、他の可能性が指摘できる。表向きは、CBTが思考内容を変化させることは明らかであろう。
しかし、その裏でCBTは、患者と、彼/彼女らがもつネガティブな思考や感情との関係性を変化させているのである。
具体的には、CTにおいて患者は、ネガティブな思考そのものに気づき、その正確さや適切さについて評定することを繰り返すことで、しばしばネガティブな思考や感情に対する視点を変化させる。
思考を、絶対的に正しいものであるとか、重要な自己の属性を反映したものであると捉えるのではなく、ネガティブな思考や感情は、必ずしも現実や自己の本質 を正しく反映しない、心の中で生まれては消えてゆくささいな出来事にすぎない、と捉えることが可能となるのである。」(76頁)