「第3世代」の認知行動療法の特徴
認知療法は、日本で優勢な他の心理療法よりも、うつ病、パニック障害などに効果があったが、アメリカは、さらに、認知行動療法が効果をみなかった疾患に対して有効な手法に進化しつづけている。
「マインドフルネス&アクセプタンスー認知行動療法の新次元ー」で紹介されているのは、「第3世代」の行動療法と称される。これに属する、ACT、DBT、MBCTは、次のような特徴がある。
1、マインドフルネスが中核 「マインドフルネス・トレーニングの応用がMBCTの中核をなしているが」第3世代の「BDTやACTなどの他の介入においても、程度の差こそあれその特性が見受けられる。」(81~82頁) 「いずれも観察や承認(acknowledgment)といったスキルの訓練を通して、自分自身の内的な体験(思考、情動、身体感覚など)に対する知覚を増加させることを目的としている。これは、患者自身が体験するあらゆる思考や情動の内容からの脱中心化を促進し、また、これまでとは異なるそうした体験との関わり方を提案する。」(82頁)
3、コミットメント 「問題解決の試みを放棄する代わりに、それまで問題と見えていたものを無色透明のレンズを通して見ることにあえて立ち返り、困難に対して、優しい視線を 向けるという方法を選択するのも、MBCT、DBT そしてACTに共通する点である。それらの治療技法に採り入れられている気づきの練習をすることで、好ましくない思考や感情、身体感覚に対して攻撃的にな ることが、往々にして緊張や内的混乱を生み出していることに、患者自身が気づけるようになる。思考や感情にまかせていつまでも緊張状態を続かせるのではな く、自分で見つけた、落ち着ける場所から自分自身の状態や状況を観察することで、患者は心の苦闘を静かにやり過ごす術を身につけるのである。」 (82~83頁)
2、アクセプタンスの重視 「いずれの治療技法においても、CTから緩用した、優勢な自動思考や信念に対して、患者がその妥当性を疑う(疑問に思う)よう促す技法が用いられるが、それ以上にアクセプタンスに基づくアプローが優先される。」(82頁)